日本一を目指し、自己分析で達成！

ディーン元気選手は中学時代に兄の影響で投擲種目であるやり投げを始めたそうですが。投擲以外に興味を持った事は。

中学１年生頃はまだ体が小さかったのですが、やるなら日本一になる！ という意識は、始める前から持っていたので、やり投げなら日本一になれると思い、まずは基礎体力作りを意識して始めたのがきっかけです。

当時、やり投げ以外に興味を持ったことはありましたか。

自転車のＢＭＸにも興味があったのですが、ケガをするイメージが強かったので、結局やり投げ一本でした。

やり投げのどんなところに魅力を感じていますか。

どうやったら、もっと遠くまで投げる事ができるのかを研究して、アイデアを持って練習を積み重ねていくスポーツなので、結果に結び付けられたときは最高に楽しいです！

高校時代の嬉しかった思い出というと何でしょうか。

通学に１時間もかかったので、高校時代の思い出というと、通学時間がただただ長かったというイメージが一番強いです（笑）。でも、大きなケガも無く、インターハイでは優勝することもでき、自分の思い描いていたプロセス通りになった充実した３年間だったので楽しかったです。

ちなみに長い通学時間は、何をしていたんですか。

主に人間観察をしていました。いつも同じ時間帯に乗るので、だいたい毎日同じ顔ぶれじゃないですか。そんな周りの人達を見て、みんなも頑張っているんだから、ぼくも日本一目指して頑張ろう！ って（笑）。

前向きですね（笑）。ところで、インターハイに出場すような強豪校というと、練習もかなり厳しいイメージがありますが。

フィジカル強化の練習は、かなりきつかったですね。練習も始まってしまえばやり切るのですが、始まる前までは、ああイヤだな・・・って思っていました。でも、下積みの時期だと思い取り組んでいました。それもあって、体重が７３kgから８２kgと筋肉で９kg増えたのはその後に活きてきました。

陸上漬けの高校時代、部活以外ではどんな男の子でしたか。

常にやり投げのことを考えていました。友達と遊んでいても、気がついたら陸上の話をしていたり、実家が神戸で海が近かったので、練習に備えて、遊びもなるべく身体が休まるように、釣りをしたりして休養を兼ね遊んでいました。

かなり充実した高校生活ですね。

そうですね。公立高校だったので、大学に進学するために勉強もしっかり頑張りましたし、陸上部のコーチも、自分の考えを押し付けるのではなく、自分自身で考えて練習をさせるような指導方針だったので、自己分析能力も身につける事ができて、成功あり、失敗もありの充実した高校生活でした。

高校時代、将来の夢はなんでしたか。

高２年まではインターハイなど全国大会で日本一が目標でしたが、日本一になってからは、シニアの大会で日本一になってオリンピックに出場する事が目標になっていきました。

この練習の意味は？ 考える力を大切に

日本一、そしてオリンピック出場を目指して活動をしていたディーン選手ですが、大学や社会人になりミズノに所属し、やり投げを続けていこうと思ったきっかけは何ですか。

高校だけでは、まだまだ全てを出し切れていない自分もいましたし、自己分析で、もっと伸び代があると感じてもいました。そして世界に出て、世界中の選手から、「あの日本人はスゴイ！」と思わせたいという気持ちも強かったので、その目標を達成するまでは続けたいと思ったのがきっかけです。

明確な目標があるという事は、とても大切ですね。

人それぞれ、どんな分野でも、満足して終えられる人もいれば、あきらめざろうえない人もいると思います。ぼくの場合は、あとオリンピックに２回、いや３回は出場するという、強い目標がある事で、今も続けていられていると思うので、目標に対する強い思いは大切だと思います。

ディーン選手は、社会人となった今も、ミズノに所属し、ロンドンオリンピックに出場するなどアスリートして活躍されていますが、学生時代と違い大変だと思うことはありますか。

大変とか、そういう意識はあまりありません。社会人としてミズノに所属しやり投げをしている今も、ただただ自分のパフォーマンスをどう向上させられるかという事だけを意識しています。だから、結果が良かったとしても、自分が納得できるプロセスでは無かったら、本当の満足は無いですし、逆に調子が悪く、結果が伴わなかったときは、どこがダメだったのかを分析して、どう次につなげていくかを大切にしているので、目標を達成するために、今日一日をどうするかという事だけですね。

ディーン選手にとって、現在の目標というと。

オリンピックですね。一番大きい舞台でもあるので。

今以上に世界で戦えるよう、工夫している事はありますか。

十人十色で、１０人の選手がいれば、１０パターンの投げ方があり、人それぞれ自分の方法で練習をしていて、どれが正解というものはありません。大切なのは自分の体を理解し、どうすれば自分の体を一番上手に活かせるかという事。それを攻略できた人がチャンピオンになれるのだと思います。だから、強い選手が取り組んでいる練習方法をマネすることも大切ですが、トレーニングも含め、練習を始める前に、なぜこのトーレーニングが今の自分に必要なのか、考える力を大切に自分自身の練習方法を工夫することが一番大切だと思います。

ディーン選手から中高生へのメッセージ

ここからは部活動で活動する中高生へのアドバイスを頂きたいのですが、先ほどもお伺いいたしましたが、競技力アップの為に、こんな工夫をした方がいいよ！ という具体的なアドバイスはありますか。

がむしゃらに練習をする事も大切なのですが、今やっている練習の意味を理解しないで、雑にこなすだけでは効果が半減するか、もしくはまったく逆効果になってしまう可能性もあると思います。中高時代は、先生やコーチから、やらさせれる練習も多いと思いますが、その練習が何に役立つのか疑問に思ったときは、先生に聞くのもありだと思います。

ディーン選手が中高生の頃は、練習の意味をコーチに質問することは多かったですか。

中学の陸上部は、短距離と投擲で分かれて練習をしていたのですが、僕が中学生の頃は、練習メニューのほとんどを自分で考えてやっていました。最近になって、当時の中学校の先生に、「なんで何にも教えてくれなかったんですか（笑）！？」って質問をしたら、「ほっておいても勝手にやるから（笑）。」って。だから練習メニューに関して先生に質問をする事はあまり無かったですね。

日本一を目指して始めたやり投げを、途中で辞めたいと思ったことは無いですよね。

中学生の時、一度だけあります。やっぱり野球がいいかなって。

やり投げより野球の方が好きだったのですか。

全中大会の砲丸投げで、自分より体の大きい選手がたくさんいる中、結果、４位だったんです。頑張れば勝てなくも無いけど、野球も楽しかったしな。とか思うようになって、１０月のジュニアオリンピックの円盤投げで優勝できなかったら辞めて野球に戻ろうと思っていました。でも結果、優勝できて、続けることになったんです。

ちなみに、野球は４番だったんですか？

キャッチャーで４番でした。

上達するためには、キツイ練習がつきものですが、上手に向き合うコツはありますか。

目標設定と、練習の意図をしっかりと理解できていれば、モチベーションにもつながり、キツイ練習にも上手に向き合えると思います。逆にそれが無いと、ただただしんどい練習になってしまいます。例えば、スタビライゼーションの体幹トレーニングも、適当にやれば３分やったとしても楽勝ですが、きちんとした正確なフォームでやると３０秒でも、とてもキツイ練習メニューになるので、回数ではなく、質を意識して取り組む事が大切です。

ディーン選手の今後の目標というと、やはりオリンピックでのメダリストになる事ですか。

そうですね。オリンピックでは絶対にメダリストになりたいですね。まずはそこを目指しています。

最後に部活に励む中高生にメッセージをお願いいたします。

楽しい事もたくさんある時期だと思いますが、自分が決めた目標を、計画と実行で達成し、成功体験を経験して、自信につなげてもらえたらと思います。そして、競技を楽しんでもらえたらいいですね！

ちなみに、ディーン選手にも、好きになった女の子はいたと思いますが、告白も計画と実行でしたか（笑）。

どうですかね。そこは、いきおいですかね（笑）。ただカワイイだけじゃなくて、陸上に熱中している自分を応援してくれる女性がイイですね！

ありがとうございました。