YELL 部活応援プロジェクト [エール]

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2007年5月~2018年3月、日本を代表するトップアスリートのインタビューはこちら!

花川 与惣太

帰宅部 : 北区長

8月に北京オリンピックを控えた今年、北区西が丘にナショナルトレーニングセンター(NTC)がオープンした。ナショナルトレーニングセンターとは、北京五輪を目指す日本人トップアスリートの強化拠点として国が設立した施設で、国立スポーツ科学センター(JISS)に隣接している。
「子どもかがやき戦略」や「子育てするなら北区が一番」をテーマに掲げる、“北区(東京都)”。そんな、子ども教育に熱心な北区の花川与惣太 北区長に「部活」というキーワードで、お話をお伺いいたしました。

1.花川与惣太北区長の“部活道”

はじめまして。今日はよろしくおねがいいたします。
花川区長も中高生の時は何か部活をされていたと思うのですが。

中学生時代は、戦後まもなくでしたから、今のような部活といったものは、ありませんでした。高校には、何故か、ボクシング部がありましたね。私は、所属しませんでしたが。

花川与惣太

そうでしたか。私たち(インタビュアーは34才)や今の子供は部活をするのが当たり前の時代に育っているので、それは予想外の答えですね。
ちなみに、部活動にたずさわることは中高生にとって大切でしょうか。

もちろん大切だと思います。運動に限らず、音楽でも美術でも文学でも、友達とともに何かに熱中することが重要です。そのうえ、先輩後輩という学年や年齢を越えた人間関係を築くことは、将来、社会生活を送るうえで貴重な財産となるに違いありません。

花川与惣太

自分もなぜこの「HERO INTERVIEW」という中高生部活応援マガジンを始めたかというと、中高生時代に部活をするという経験が、大人になり社会に出て、とても重要な役割だと思ったからです。花川区長は部活を経験されてはいませんが、それ以上のきびしい時代に成長された先輩として、ご意見を伺いたいのですが。

私自身は、残念ながら部活動を経験していませんので、先輩として語るべきものはありません。戦中戦後の悲惨な状況を見て育った世代ですから、皆さんのように、いろいろな部活の中から好きなことが選べる、というのは、何と素晴らしいことかと思います。そうした機会を生かさないのは実にもったいない。
私の中高生時代が今のようであればどんなに良かったか、とも思うけれど、一方で、決して豊かではなかった時代も、むしろ有難く思っています。子ども心に、傷ついた人や飢えている人々を助けられないのは、本当に切なかった。ですから、中高生時代も、つらい思いをしている人や悲しみを抱えている人には、心から寄り添ってやりたいと思う、そんな学生でした。人の痛みが分かる優しさ、というものを育んでくれた、と感謝しているのです。優しさや慈しむ心は、誰もがもっているものですが、優しくなれ、と説教されて優しくなれるものではありませんから。
レイモンド・チャンドラーが書いたように「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。」って言い切れるようになったら、カッコいいですね。

花川与惣太

同感です。私自身も思うことなんですが、人は経験からしか学べないのではないかと常々思っています。なので、子どもの頃に色々と経験する事がとても大事な事だと思っております。

2.「子ども」かがやき戦略とは?

北区の教育政策についてのお話もお伺いしたいのですが、「子どもかがやき戦略」や、「教育先進都市・北区」に関してのお話をお聞かせください。

「子ども」かがやき戦略は、北区の重要な4つの戦略のひとつです。私は、区長就任当初から、「子育てするなら北区が一番」をめざし、全国に先駆けて子ども医療費の無料化を実施したり、「教育先進都市・北区」の実現に力を尽くしてきました。
きめ細かい教育を行うために、小中学校に多くの非常勤講師を配置していますが、その人数は23区でトップ。小学校の英語活動時間数も、23区トップレベルですし、理科教育ではお茶の水女子大学や国立天文台などと連携して「理科大好き事業」を展開しています。北区の子どもたちが、学校生活をいきいきと楽しみ、学ぶ喜びが実感できるよう、教育委員会とともに、さらに知恵を絞って取り組んでいくつもりです。

花川与惣太

私たちが子供の頃は英語は中学校からでしたが、今は小学校から学ぶんですね。おどろきました。 ちなみに、北区長の年頭挨拶にもありました、西が丘に開設されたナショナルトレーニングセンターやJISSでの、選手と子どもを交流させ、大きな夢を与える機会を作る企画についてのお話などをお伺いしたいのですが。

日本を代表するトップアスリートの方々が、この北区に集まり、練習に励み、世界で活躍する、というのは本当に素晴らしいことです。北京オリンピックが近づいているので、すぐには難しいかもしれませんが、北区の子どもたちに、トップアスリートの厳しい練習を目の当たりにさせたい。自らの夢を叶えるために頑張るアスリートの姿を見、お話を伺えば、子どもたちは、勇気づけられることでしょう。JOC(日本オリンピック協会)も、出来る限りの協力はする、と言ってくださっていますので、いずれ、アスリートと子どもたちとの交流が実現すると思います。
また、4月からは、全国から選抜されたアスリートの卵たちが転入してきて、北区の中学生になります。JOCのスポーツアカデミーという事業なのですが、これも大変喜ばしいことです。多くの子どもたちが、良い刺激を受けるに違いありません。北区で、多様な子どもたちが学び、それぞれの才能を存分に開花させてほしいものです。

花川与惣太

それは大変魅力的な企画ですね。 世界でトップを目指すには幼少期の環境がとても大事になってくるので、そういう経験が出来るという事は、子どもたちの将来の職業選択においても大変貴重ですね。

3.中高生へのメッセージ

北区の魅力(産業、文化、まち、優れた製品、伝統工芸)を将来担ってほしい中高生へのメッセージをお願いしたいのですが。

中高生時代は、決して楽しいことばかりではありません。特に、将来、何になりたいのか、明確な目標が持てず、学習意欲も湧かず、何のために勉強しなければならないのか、と考え出すと、本当にウンザリします。私にも、そんな時期がありました。
夢や理想をしっかりともって、それに向かって努力している人は、実にうらやましい。圧倒的に多くの皆さんは、自分の将来像をはっきりとは描けないけれど、とりあえずは、何とか頑張らなくては、というところではないでしょうか。でも、それも大事。目の前にあること、スポーツも勉強も、場合によってはアルバイトも、まずは頑張る。頑張っているうちに、結構、見えてくるものがあるものです。
ところが、意識しないと、いつまでたっても見えないのが、まちの魅力です。どうか、機会があったら、北区ニュースや北区観光マップ、広報誌KISS、北区ホームページなどをご覧になってください。新たな魅力に出会えますよ。それに、北区の抱える課題や問題点も見えて来るかも知れません。そのうえで、中高生の皆さんに、自分たちもこの北区を構成している一員なんだ、という意識をもっていただけたら、こんなうれしいことはありません。
北区には、世界に冠たる技術を駆使している小さな工場があります。古くから、地域の人々によって受け継がれ愛されてきた、伝統行事があります。北区つかこうへい劇団などで、演劇に打ち込む若者がいます。多様性に満ちた、この北区のまちを、まずは、知ってほしい。あなた自身の目で見てほしいと思っています。

花川与惣太

最後に、これからの日本、日本人は、どのように進んでいくべきか、お聞かせください。

私の座右の銘は「誠」の一文字です。誠心誠意の「誠」ですね。吉田松陰って、ご存知ですか。幕末の思想家、教育者で、高杉晋作とか伊藤博文などの先生です。この人が「至誠にして動かざるものは、いまだ、これあらざるなり」という言葉を好んで使っている。誠を尽くして接すれば、心動かされない人はいない、という意味ですね。誠とは、うそ偽りのないまごころを込めた気持ちのこと、と私は思っています。
昨今、偽装などで、ありとあらゆる信頼が揺らいでいます。でも、この日本に、高い道徳心や倫理感がなくなってしまったわけではないでしょう。こんなことでは、いけない、と多くの人が思っているわけですから。
これからを担う、若者にこそ、いつでも誰にでも「誠」を尽くす努力をしてほしい。信頼される人間、信頼される日本になってもらいたい、と切に願っています。日本の教育水準や、経済の競争力など、世界の中でどんどん後退していると指摘されており、私も大変困ったことだ、と懸念していますが、世界から信頼されてこその日本ではありませんか。

花川与惣太

今日はほんとにありがとうございました。

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