YELL 部活応援プロジェクト [エール]

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2007年5月~2018年3月、日本を代表するトップアスリートのインタビューはこちら!

岡田 卓也

バスケットボール : SAN FRANCISCO RUMBLE(ABA)

今回のターニングポイントは、プロバスケットボールリーグ・ABA 「SAN FRANCISCO RUMBLE」でポイントガードとして活躍する、岡田卓也選手です。2004年にABAのコートに立って以来、アメリカに挑戦し続ける岡田選手。シーズンオフにはGYMRATSとして日本の中高生にバスケットボールクリニックを開催するなど、選手としてだけで無く幅広い活動を行っている。今回もHERO INTERVIEW では、岡田卓也選手に、自身の中高生時代のエピソードと、現在の中高生に向けてメッセージを頂いてきました。 (コーディネート/日高正明 取材・文/小山基彰)

バスケをはじめたきっかけ

プロバスケットボールリーグ・ABA 「SAN FRANCISCO RUMBLE」で活躍する、岡田卓也選手ですが、中高生時代は何部でしたか。

バスケ部です。

岡田 卓也

数多くある部活のなかで、バスケ部を選んだきっかけは何だったんでしょうか。

最初にバスケを始めたきっかけは、母がバスケをやっていて、僕が小学校4年生の時だったんですけど、隣の小学校にバスケットボールクラブが出来るからやってみたらと言われた事だったんです。なのでそれからは中学でも高校でもずっとバスケ部に所属して活動していたという感じです。

岡田 卓也

一番印象に残っている部活の思い出は何ですか。

僕が所属していた高校のバスケ部は昔インターハイにも出場したことのある名門バスケ部で、当時は弱かったのですが、名門だった頃に活躍していたOBの方がコーチ(監督)として僕たちを指導してくれて、団体競技であるバスケットボールの楽しさを教えてくださいました。僕にとっては、その楽しかった部活の日々が一番の思い出です。それがあったから今までずっと続けてこられたのだと思っています。

岡田 卓也

楽しさの中には厳しさもあったんですか。

親より思いきり殴られた事もありましたよ。でもそれには愛が感じられて、バスケが好きな自分に対して親のように接してくれたのが嬉しかったし、それがあったから厳しくても頑張れたのだと思います。

岡田 卓也

どんな分野でも、良い指導者との出会いは貴重ですよね。

小学校時代に所属したチームは結構強かったんですが、中学では顧問にも恵まれずバスケ部も弱くて、他の小学校の友達の方がどんどんバスケが上手になっていくし、自分ももっとバスケが上手くなりたいと思っていたので、バスケの基礎から応用まで全てを教えてくれた高校時代は厳しくもあったんですが、とても充実していて楽しかったです。

岡田 卓也

中高生の頃、部活以外ではどんな少年でしたか。勉強は出来たかとか、友達関係とか、恋愛とか(笑)。

バスケだけでした(笑)。部活以外の時間も家の前でバスケをしていたし、バスケ以外はまったく興味が無かったですね。

岡田 卓也

でも大学は日体大に行かれたわけですから、多少は勉強したんですよね(笑)。

通っていた高校が日大の附属高校だったので、そのまま進学してバスケ部に入る予定だったんです。でも、「入れてあげるけどマネージャーだよ」といわれたので、それは嫌だなと思って、プレイヤーとして活動できる大学に進学しようと日体大を受験したので、それなりには勉強していました。

岡田 卓也

プレイヤーとしてバスケをしたいのに、マネージャーは嫌ですよね…

そうですね。その頃は今でもバスケを続けているとは思っていなかったので、将来は体育の先生になりたいと思って日体大を受験したんです。

岡田 卓也

部活は楽しく! - 岡田卓也選手からの部活アドバイス

バスケが大好きな岡田選手ですが、部活を辞めたいと思ったことはありましたか。

大人になってからは一度だけバスケを辞めたいなと思ったことはありますが、中高生の頃は自分がもっと上手くなると思っていたので辞めたいと思ったことは無かったですね。

岡田 卓也

バスケットボールは団体スポーツですが、様々な価値観(目標・目的)を持った部員と一緒に、一つのチームとして向上していくコツはありますか。

監督の考えと選手の考えにギャップがあったり、選手同士の考え方にギャップがあったりすると、チームとして絶対にまとまらないです。地区大会一回戦負けのチームがいきなりインターハイに出場するのは目標が高すぎるけど、3回戦まで勝ち進もうとか現実味のある目標設定をして、チームとしてそれに向かっていくことがベストだと思います。僕が所属していた高校のバスケ部は常にインターハイを目標にしているチームだったので、その考え方(目標)に合わない部員は辞めていきました。でも僕自身の部活に対する考えとしては、「楽しく」が一番だと思っているので、まずはチームメイト同士で話し合う事が大切ですね。

岡田 卓也

僕自身も当初、部活のあり方として、様々な価値観があって良いと思っていたのですが、リアルに部活のコーチをして感じたことは、勝利を目指していない部活(チーム)は、なんの為に存在するのかと考えるようになってしまいました。何をするにもモチベーションが大切だと思うのですが、勝利を目指さないチームは何を目指して活動したらよいのでしょうか。

なんで僕が部活は楽しければいいじゃんって言えるかというと、小学校(のバスケチーム)が強くて中学の時は弱くて、高校が県(大会)のベスト8止まりで、大学は一番強いチームだったけど僕は2軍(日体大は1軍から7軍まである)で、色々な立場を経験したからこそ部活は楽しむのが一番だって思えるんです。僕は定期的に獨協医大にバスケを教えに行っているんですけど、彼らには「おまえらは医者になるんだから、バスケはやるときだけ集中すればいい」と言っています。彼らにとってのバスケ部の活動は、強くなって優勝を目指すことではなく、彼らの気分転換の場であれば良いと思っているんです。でも彼らはその時間だけは我武者羅にバスケに集中します。それが彼らにとっての自己鍛錬になっているからなんです。

岡田 卓也

ところで試合前って緊張しますか。

緊張しますね。

岡田 卓也

緊張しない良い方法ってありますか。

準備運動が一番大事です。試合前のウオーミングアップでは滅茶苦茶走らせます。そうするとメンタル的にやられるので緊張していることを忘れてしまうんです。それに体が出来上がっているので試合への入り方も良いんです。イチロー選手のように成功している選手は、ウオーミングアップをとても大切にしていますよ。

岡田 卓也

ということは、ウオーミングアップも含めて試合終了まで継続して力が出し切れるだけの体力をつけることも大切なんですね。

走りこみのメニューがしっかりと出来てれば問題ないはずです。あとはメンタルトレーニングという方法もありますよね。例えばずっと同じ音楽を聞きながらシュート練習するんです。そしてその曲を試合前に聞いて良いイメージを持ちながら試合に入るようにするという方法もあります。僕は試合前にアメリカの国歌を聞くと嬉しくて涙が出てくるんです。ここ(アメリカ)に来て良かったなって、試合で頑張れちゃうんですよ。

岡田 卓也

ABA - SAN FRANCISCO RUMBLE

岡田卓也選手が活躍するプロバスケットボールリーグ・ABA 「SAN FRANCISCO RUMBLE」のお話を伺いたいのですが。

NBAってみなさんもご存知だと思うんですが、サッカーのJリーグにJ1、J2があるように、NBAがJ1だとしたら、NBDLというJ2があるんです。そしてそのリーグとは別に独立リーグが4つあるんですが、その一つがABAというリーグなんです。僕はそのABAのSAN FRANCISCO RUMBLEというチームでプレーしているんですが、NBAのレイカースなんかも元はABAのチームだったんです。

岡田 卓也

日本にもいくつかバスケリーグがある中で、なぜアメリカのABAでプレーされているんでしょうか。

最初は父親に対する大学受験に落ちた言い訳だったです。僕の親戚の兄がアメフトの選手としてアメリカでプレーしていたので、受験に落ちた時に、「おれは卒業したらアメリカに行くからいいんだ」って言ったんです。そしたら父親が激怒して… 結局、大学に入ったら好きなだけアメリカに行っていいという事になったので、大学2年生の時に大学が持っているオハイオのプログラムに参加したんです。そしたら自分の思い描いていたイメージとぴったりだったので、大学3年生の時にNBA選手が主催するキャンプに参加したんです。そしたらそのキャンプでMVPに選ばれて、それを切欠に色々な人と知り合いになって、大学を卒業してからアメリカに行くことになったんです。

岡田 卓也

僕は常々、人生は一度切りだから後悔の無いチャレンジをした方が良いと思っていますし、そう言い続けています。それは正しいか間違っているかはわからないですが、自分の人生ですから、人に迷惑をかけず自分の好き嫌いで判断して進んでもらいたいと思っているんです。好きなことが中心に無いと楽しくないし頑張れないと思うんですよ。

色々な価値観があると思いますが、好きなことをやっているからこそハングリーになれるというのもあるので、自分の好きなことを見つけて楽しむことが大事だと思います。

岡田 卓也

今後の目標は。

まだ現役でプレーしたいと思っていますし、GYMRATSという子供たちにバスケのクリニックをするという活動も続けたいと思っているので、日本で選手として活動することは出来ないんです。日本ではシーズン中にそのような活動をすることは不可能なので、世界のどこに行っても活躍できるレベルの選手であり続けたいと思っています。また、若い人たちが今よりももっと世界に目を向けてほしいと思っているのでその仕組みを作っていきたいです。

岡田 卓也

部活は、やるかやらないか ただそれだけ。

HERO INTERVIEW は、「部活」をテーマにしているんですが、部活は中高生にとって大切だと思いますか。

僕にとっては大切でした。中学がどうしようも無かったから、高校で頑張ろうって気持ちにもなれたし、その場その場で学ぶことがあるのが部活だと思います。

岡田 卓也

大人になってから思ったことでもいいのですが、部活をやってきて良かったなと思えることはありますか。

小中高大とレベルの違うバスケ部で様々な立場を経験したことで、色々な人の気持ちがわかるようになれたのは良かったですね。

岡田 卓也

理想的な先輩像ってありますか。

むずかしいですね。礼儀は大切だと思いますけど、チームメイトとはいえライバルでもあるので、先輩として後輩を引っ張っていくというよりは、各々がやるかやらないかだと思います。

岡田 卓也

ターニングポイント

岡田卓也選手にとって、今までの人生の中で一番のターニングポイントをあげるとしたら、いつでしょうか。

それを考えたいんですが、無いんですよ。今まで所属してきたチームがいくつも廃部しているのに、自分はまだバスケを続けているということは、バスケという直線が続いているということだと思うんです。もちろん今までの人生の中でたくさんのキーマンにはあっていますし挫折もありますが…。ただ、プレイヤーとしてではなく、GYMRATSの活動としてターニングポイントをあげるとしたら、マジックジョンソンとの出会いです。

岡田 卓也

どんな出会いなんでしょうか。

マジックジョンソンのチームで彼と一緒にプレーしていたことがあって、彼から学んだことがたくさんあるんです。プレー的な事としては、もっとゆっくりやれと言われました。日本人はスピードがあるんですが、バスケで大事なのは確実にシュートを決めることだからって言われたんです。そして選手としては、ゲームに勝つこと、自分が楽しむこと、観客を喜ばせることの三つを持てばいいと教わりました。

岡田 卓也

最後に、中高生へのメッセージをお願いします。

野茂秀雄さんが言っていた言葉で、「夢は持つものではなく、かなえるものだ」というのがあるんですが、夢を持っているけど待っている人が多いと思うんです。でもいくら待っていても来ないのが現実なので、たとえ失敗したとしても自分から行動してほしいと思います。

岡田 卓也

ありがとうございました。

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