中学時代は、モダンバレエと卓球部
NFLのチアリーダーとして活躍されました安田愛さんですが、5歳のときにモダンバレエを習い始め、高校からチアリーディングを始めたそうですが、中学生のときは、何か部活をされていたのでしょうか。
実は卓球部だったんです(笑)。 スポーツが大好きだったんですけど、練習の厳しい部活だと、バレエが出来なくなってしまうと思ったので、怪我も無く楽しくできる部活ってことで、3年間卓球部に所属していました。
卓球部って、楽しいイメージがありますよね。
そうなんですよ(笑)。 でも、小学生のときは、父親の影響でバスケットボールクラブやソフトボールクラブでスポーツをしていたので、5才から高3まで続けていたバレエを始めた切欠は、ダンスを教えていた母親の影響なんです。
高校ではチアリーディング部と、モダンバレエを両方やっていたんですか?
高校のチアリーディング部は、週に一度くらいしか休みがなく、部活の仲間と過ごしている時間がほとんどで、正直言って両立はとっても大変でした。でもチアもバレエも本当に大好きだったので続けられたんだと思います。あとは家族のサポートのおかげです。
数多くある部活のなかで、なぜチアリーディング部を選んだのでしょうか。
部活紹介のときに、チアリーディング部の演技を見て、いつも笑顔でいられるチアリーダーって最高だなって思ったんです。衣装もポンポンも元気なダンスも魅力的でした。でも入部するにはオーディションがあったので、色々考えて最初はバトン部に入部したんです。でもすぐに、やっぱりチアをやりたいと思ってトライアウトを受けました。
部活に入部するのに、トライアウトがあるんですか?
女子高でしたがチアリーディング部はとても人気があったので、入部したい子がたくさんいて、入部するにはテストがあったんです。
チアリーディングと言ってもいくつか種類があるんですよね。
大きく分けて、チアダンスとチアリーディングに分かれるんですけど、リフトしたりピラミッドを作ったり、タンブリング(バック転)したりジャンプしたりする要素の入ってくるのがチアリーディングで、リフトを除いたダンスのテクニックをメインに競い合うのがチアダンスなんです。私が高校生の時にやっていたのはチアリーディングのほうでしたが、今は、チアダンスを見る機会も多くて、どっちもハードですが、どちらも、仲間と一体感を感じられる、素晴らしいスポーツだと思います。
安田愛さんの高校の思い出
チアリーディングをやってきた中で、一番、嬉しかった思い出はなんですか。
高校と短大時代に、チアリーディング部で活動していたんですが、高校のときはなかなか賞に恵まれなかったんですけど、短大のときは2回も優勝出来たので、頑張ったら頑張った分だけ結果がついてくるというのが嬉しかったです。そして短大部門の日本代表として、アメリカのオーランドにあるディズニーワールドで行われた全米チアリーディングの大会に2年連続で出場できたのが、うれしい思い出です。
強いチームになればなるほど、きつい練習が多くなってきて、部活を辞めたいと思った事もあると思うんですけど、辞めずに続けられたのはなんでですか。
私も正直言うとチアを辞めたいと思ったことはあるんですが、つらいこともうれしいことも部員のみんなで同じ気持ちを分かち合えたのが良かったと思います。今になって振り返ってみると、部活を続けてきて良かったなと思いますし、充実した学生生活をおくることができました。
ところで、中高生の頃の安田さんは、どんな女の子でしたか。
高校生のころは、部活やバレエが忙しかったので、あまり家族と会話出来るような時間がなくて、家に帰るとすぐに寝てしまうような感じでした。今では人前でこんなに話す事が出来ますけど、昔は合唱コンクールに出れば顔が赤くなるし、バレエの発表会の直前になると、おなかが痛くなってしまったりと、今の私とは違いました。でも、高校のチア部に入ってから元気な女の子たちと一緒に活動するようになって、少しずつ変わっていけたんだと思います。
恋愛は(笑)?
グループ交際! 部活がお休みの日に、みんなで遊園地に行ったり映画に行ったりご飯を食べたりすることが楽しかったです(笑)。
中高生の頃は大きくなったら何になりたかったですか。
毎日を一生懸命目の前にあることをやっていたので、あまり将来の事は考えていなかったと思います。でも、友達に聞いたところによると、私はアメリカに行きたいと言っていたそうです(笑)。
中高生へ向けた、安田愛さんからのアドバイス
部活というと、やはり“つらい練習”ですが、つらい練習から逃げずに向き合うコツがありましたらアドバイスをお願いいたします。
他の部活と同じで、チアリーディング部も、みなさんが思っているよりとてもハードで、上下関係も厳しい体育会なんです。朝練もそうですけど、筋力アップのためにセーラー服の下から腕と足にブルーのオモリのようなものをつけて登校したりとか、バック転の練習で手首が痛かったり、身体にあざが絶えなかったり、血が出たり骨折したりで、なんで女の子なのにこんなことしているんだろうって思っていました。でも、つらいだけじゃなくて、楽しいことも嬉しいことも、全部みんなで分かち合えるから、つらい練習から逃げずに続けられたんだと思います。
大好きな部活だからこそ、つらい練習も乗り越えられるって事ですよね。
そうですね。それに部活をやっていた人って、知らないうちに社会に出たときに役に立つ常識や精神力を身につけていると思うんですよ。チアリーダーの場合、チームワークとか協調性ってとても大切で、一人でも練習に参加しないメンバーがいると、何も練習できなくなってしまうんです。チアリーディングって16名全員でスタンツを組んだり、フォーメーションを整えているので、一人欠けただけでチームに迷惑をかけてしまうんです。それに、先生や親や応援してくれている人たちに対する感謝の気持ちや、人を思いやる心を学べるので、とてもためになると思います。
チアリーディングというと、かなり体力を使うスポーツだと思うんですが、高校生の時に体力アップで何か特別なことはしていましたか。
高校生のときは、ダイエットとか言ってましたけど、ご飯はたくさん食べていましたね(笑)。 でもその分、ランニングとか縄跳び、腕立て伏せなど、筋トレをしっかりやっていました。
先ほど、昔はとても緊張する性格だったとお伺いしましたが、緊張しない良いの方法がありましたら教えて下さい。
チアリーディングの場合、チームメイトとの信頼感が演技をする上でとても大切になってきます。日ごろからしっかりとした意識で練習していれば、試合でも良いパフォーマンスが出せるようになって、緊張するというより楽しめるようになってくると思います。責任感があるか無いか大切だと思いますね。
NFLでチアリーダーをやっていたときは、どうでしたか。
“楽しい”ってだけでしたけど、英語でスピーチをしなくてはならないときは、本当に緊張して何度も何度も練習しました(笑)。
部活はやったほうがいいです!
先ほどもお伺いしましが、改めて、部活動は中高生にとって大切だと思われますか。
今でも高校時代のチアの友達と話すんですけど、「あのとき、私たちチアをやっていなかったら、とんでもない高校生だっただろうね・・・(笑) 一生懸命やって良かったね!」って話すんですよ。あのつらい毎日の練習を3年間乗り越えられれば、自分にとって自信につながるし、最後までやり抜くという気持ちが養われると思うんです。それにつらい事を一緒にやったチームメイトとは一生の友達になれるんです。高校生の時にしか出来ないことってたくさんあるので、自分の好きなことを見つけて頑張ってほしいと思います。
部活動をやって良かったというお話がありましたら、お願い致します。
信頼できる仲間と出会えたことですね。高校、短大、社会人、NFLと、一緒にチアをやった仲間は、私にとって一生の宝物です。
今までチアを続けてきた中で、どのような指導者が一番好きでしたか。
高校のチアリーディング部の顧問の小山先生が大好きでした。チア部の顧問なのに、なぜか男性で、私たちのお父さんみたいな感じだったんです(笑)。 当然、チアの経験も無いんですけど、指導することが的を得ていて、熱心にあきらめないで指導してくれる愛情たっぷりの先生でした。
理想的な先輩像ってありますか。
リーダーシップのある人が魅力的だと思います。厳しさも優しさも兼ねそろえて、言葉でも行動でも引っ張ってくれる先輩が素敵ですね。
ターニングポイント
安田愛さんにとって、今までの人生の中で一番のターニングポイントはどこですか。
やはり、アメリカ(NFL)に行った時だと思います。
なせ、サンフランシスコ・49ersだったんですか?
私が日本のアメフトチームのチアリーダーをやっていたとき、NFLのチアリーダーが来日して指導してくれた事があったんですけど、そのとき私に指導してくれていたサンフランシスコ・49ersのチアリーダーが、「ぜひあなたも49ersのテストを受けてみなさいよ!」って言ってくれたんです。それを私は真に受けてテストを受けにいったのがきっかけなんです。
中高生へのメッセージ
最後に、中高生へのメッセージをお願いします。
中高生のときって、その時は長いなって思うかもしれないんですけど、振り返ってみるとあっという間なんですよね。戻りたくても戻れない時間だし、一番吸収しやすい時期なので、色々なことにチャレンジしてほしいと思います。
ありがとうございました。