サッカー漬けの中高時代

サッカーを始めたキッカケを教えてください。

兄がサッカーをやっていて、その練習や試合についていったことがきっかけです。気付いたら私も兄のマネをしていて、小学校に入学してからは、昼休みに男の子たちと一緒にサッカーをやっていました。そして小学校３年生の時に、スポーツクラブで本格的に始めました。でもそのクラブでも女子は私一人でしたね（笑）。

ポジションはどこでしたか。

ボランチかサイドハーフでした。

中学校卒業後、親元を離れ常盤木学園高校に入学してサッカー部に入部されたそうですが。

中学生の時に、社会人の女子チームに所属して活動していたんですが、週に２回しか練習ができなかったので、高校はサッカーをたくさんするために地元北海道を出て、仙台の常盤木学園で部活に専念しました。

常盤木学園高校は女子サッカーの強豪校ですが、練習は厳しかったですか。

厳しかったですね。土日なんか朝から晩まで一日中サッカー漬けでした。でもサッカーをたくさんやりたかったので…（笑）。

記憶に残る部活の思い出はありますか。

中学時代はひたすら走ってました。タイムレース的な感じの練習が多かったです。高校時代は中学以上にありすぎて困りますけど、３年間の寮生活でサッカー部のみんなと家族以上に長く一緒に生活していたので、そういうメンバーと３年間で４回も日本一になれたことは本当に嬉しい思い出です。

熊谷選手のお話しを聞いているとなんだか男の子かと思ってしまうような中高生時代ですけど、どんな女の子だったんですか。

小中高と、ほんとサッカーしかしてませんでした。高校生の時はEXILE をよく聴いてました。特別に好きってわけではなかったんですが、寮で流行るとみんな聴く感じで、バス移動の時なんかはPV を流してノリノリで試合会場まで移動していました。

サッカー漬けの日々の中、勉強はどうしていましたか。

中学の時は親が厳しかったので、けっこう勉強もしましたね。練習の後、週に２，３回、塾にも通ってました。練習も大変だったので、塾に通うのは辞めたかったんですけど、振り返ると続けて良かったって思います。

ちなみに得意な教科は。

数学と英語が好きでした。

中高時代の夢を教えてください。

中学生の時は日本代表になるのが夢でした。でも、北海道だったのであまり身近に思えませんでした。高校に入ってからは、ユース代表や、なでしこジャパンに選ばれたりしたので、将来は世界で戦えるような選手になりたいという気持ちが強くなりましたね。アジアだけじゃなく、ヨーロッパやアフリカと試合をして視野が広がりました。こういうサッカーもあるんだと思ったり。

粉骨砕身

熊谷選手はサッカーが大好きですが、辞めたいと思ったことはありますか。

サッカーを辞めたいと思ったことはないですね。厳しい練習の中で苦しいと思うことはたくさんありますけど。

つらい練習から逃げずに向き合うこつはありますか。

考え方次第だと思います。そのつらい練習をすることで、自分がどう成長するかを考えます。でも時々「この練習意味あるのかな」って疑問に思うこともあるんですけど、この練習をやれば、今よりも強くなれるんだって信じてやるようにしています。いつでもポジティブな思考が大切ですね。

ディフェンダーとして一番大切にしていることはなんですか。

どのポジションもそうですが、自分と対している相手に、絶対に仕事をさせないことが大切です。

試合前は緊張しますか。

常に試合を全力で楽しもう！って思っているので、緊張はしないです。

試合前に必ずすることはありますか。

移動中に音楽を聴きますね。なでしこジャパンでは、試合前になるとミーティングで相手チームの分析をします。私はピッチに入るとき礼をして、さらっと芝を触りますね。

熊谷選手の好きな言葉は「粉骨砕身（ふんこつさいしん）」だそうですが、その言葉を選んだ理由は。

試合だけでなく練習も常に100％でやる、手を抜かないというのがモットーなので、その言葉を選びました。自分には絶対に負けたくないんです。

部活動は中高生にとって大切だと思いますか。

大切だと思います。何かに集中できたり、目標を持って、それに向かって努力し、日々積み重ねることは、今後別の何かをする時にも必ず役に立つし、繋がると思います。自分が好きで始めた部活なら、誰にも負けたくないって気持ちで強くなれるんじゃないかと思います。

2011 年7 月からドイツ・女子ブンデスリーガ1 部の1.FFC フランクフルトに移籍することが決まったが。

移籍がこのタイミングになってしまい、チームには迷惑をかけてしまいますが、このチャンスを生かしたい、海外へチャレンジしたいという強い気持ちから、移籍を決断しました。私にとってはここがスタートラ
インだなと思ってます。負けたくない気持ちもあるし、自分らしさを出してチームに必要とされるような選手になれるよう、レッズでの2 年半の全ての経験を活かし、精一杯やっていきたいです。

熊谷選手にとって、今までのサッカー人生の中で一番のターニングポイントがあるとしたらどこですか。

高校入学です。親元の北海道を離れて、最初は不安もありましたけど、サッカーが大好きという気持ちで、日本一に４回なれたのは先生や仲間、私を支えてくれたみんなのお陰です。これらの経験を積み重ねて、私の中でサッカーに対する考え方や意識が変わっていったと思います。

最後に中高生に向けてメッセージをお願いします。

何より一日一日を大切にすることが重要だと思います。人との出会いはこれからの人生につながっていくので、いろいろなところで出会った人たちを大切にしてください。部活を毎日がんばることも大切ですが、私はサッカーばかりしていてあまり勉強に力を入れていなかったので、勉強もがんばれば、必ず将来に役立つと思います。

ありがとうございました。