目の前にある夢を一つ一つかなえて
五十嵐選手は小学校5年生の時にバスケットボールをはじめたそうですが、始めたきっかけは。
ぼくの通っていた小学校では、高学年になると、何か部活に所属する決まりになっていて、ぼくは陸上部に入部したんですけど、地元が新潟だったので、秋冬になると雪が降って、外での活動ができなくなるんです。そんな時に、バスケ部の部員が少なかったこともあって、秋冬だけバスケを手伝ってくれ! って言われて始めたのがきっかけなんです。
バスケのどんなところが楽しくて続けているんですか。
陸上部では、ぼくが短距離の選手だったこともあって、一人で黙々と練習することが多かったんですけど、バスケは、どんな時もチームメイトと一緒に活動するので、試合に勝った時の喜びとか、負けた時の悔しさを共有できるのが好きでした。
団体スポーツが好きってお話ですけど、バスケ以外にもいろいろとありますよね。野球とか、サッカーとか、バレーとか。
新潟なので、陸上部と同じく、野球もサッカーも秋冬になるとグランドが使えないんです。それと通っていた学校にバレーボール部が無かったので、必然とバスケ部でした。
高校では憧れの先輩を追って、ということで、バスケの強豪、北陸高校に進学したそうですが。
小学生の時に、他の小学校に通っているバスケが上手くて、憧れだった一学年上の先輩と中学校が一緒になって、最初は陸上部かバスケ部かで迷っていたんですけど、その先輩から、一緒にプレーしないか!? って声をかけてもらったのがきっかけでバスケ部に入部したんです。で、その憧れの先輩が北陸高校に進んだので、じゃ、ぼくもって(笑)。
バスケ部って、背が高い子が多いじゃないですか。五十嵐選手は小さい頃、背が高かったんですか。
中学3年の時に170cm、高校で少しだけ伸びて、今180cmなんで、バスケの選手としてはずっと小さいです。
北陸高校時代、部活での一番の思い出というと。
北陸高校の練習は、とっても厳しくて、それに自宅から学校が遠かったので監督の家に下宿していたんです。でも当時は北陸高校にしては低迷期で、全国でベスト8までしか結果を出せなくて、もちろんバスケは上手になったんですけど、親元から離れて全部自分でやらなくてはならない事とか、先輩との接し方とか、人としてかなり成長できた時間だったと思います。
全国ベスト8で低迷期って、ハンパないですね(笑)。
一年365日のうち、合計で1週間くらいしか休みがない、バスケづけの3年間でしたね(笑)。
修行のようですね。キライになったりしなかったんですか。
ホントそんなイメージです。でもやっぱりバスケが好きだったので、どんなにつらくても嫌いにはならなかったです。
ちなみに、どんなプレーが好きですか。
じょじょに変わってきました。高校の時はシューティングガードだったので、シュートが上手く入った時とか、決めた時は気持ちよかったです。そして高校3年から今まで、ポイントガードというポジションなんですけど、周りの選手をどう活かすかとか、どういうゲームプランを組み立てるか、それが上手くはまったときが何より楽しいです。
上手になるためにはキツい練習がつきものですが、高校時代、この練習はキツかったなっていうのはありますか。
とにかく練習時間が長かったですね(笑)。放課後4時から9時までがチーム練習、その後に個人練習を1、2時間するので、1年生の頃は下宿に帰るのが11時過ぎで、そこからご飯を食べて寝て、でも次の日は朝練が始まる6時には体育館にいってました。だから授業中が体を休める時間みたいな感じで・・・
部活以外はどんな男の子でしたか。
まれにあるオフの日は実家に帰って、親のご飯を食べるっていう事だけでしたね(笑)。
その頃、将来の夢ってなんだったんですか。
いつも常に、手の届きそうな夢というか、現実的で近い将来の夢をかかげていて、高校時代は、将来プロになりたいとかっていうよりも、インターハイとかウインターカップで優勝する! とかが夢であり、それを目標にして活動していました。
でも、卒業後は、こうしたい! とかは考えなかったんですか。
はい。考えなかったです。常に目の前にある夢に対して一つ一つ叶えることが、次につながると思っていました。
もう一度日の丸をつけて
大学卒業後、企業チームというかプロチームを目指したいと思ったのは。
大学卒業後は日本のトップリーグでプレーしたいと思っていて、当時、スーパーリーグって言ったんですけど、そのリーグのいくつかのチームからお誘いをいただいたんです。最初の一年間は仕事と練習の両方をする社員選手としてプレーして、2年目に契約選手、3年目にプロ選手になるという目標を大学卒業時に立てて、入団しました。
プロ選手になってから、どんな苦難があり、どう乗り越えてきましたか。
プロ選手は結果が全てなので、今まで以上に結果を意識するようになりました。でも、結果が出せている時、出せていない時、日本代表に選ばれているけどチームとして結果が出せていない時など、その時々の状況を一つ一つクリアにしつつ、プレーしている感じです。
先ほどのお話の中で、常に目の前にある夢に対して一つ一つ叶えるとおっしゃっていましたが、現在の夢、目標は何ですか。
中学、高校、大学、そして現在プレーしているリーグで、今まで一度も全国優勝した事が無いので、所属チームで優勝するというのが目標です。それと個人の目標としては、33才はバスケ界でもベテランなので、一年でも長く現役でプレーすることと、日の丸をもう一度つけること、その為に、バスケットボールがもっと上手になるよう、パフォーマンスを磨くようにしています。
五十嵐 圭選手から中高生へ
バスケットボールを辞めたいと思ったことはありますか。
一度も無いです。バスケットボールをやっていない自分は自分ではないし、人に五十嵐圭という自分自身を一番分かってもらえるのがバスケをやっていることだと思っているので。
上手になる為には、厳しい練習がつきものですが、厳しい練習とうまくつきあうコツはありますか。
楽しむことですね。言葉で言うと簡単なんですけど(笑)。でも、楽しむためにはキツい練習とか、テクニックを身につけるとか努力が必要ですし、自分自身も本当に楽しめているのか? って感じる時もありますけど、楽しめている時こそ、良いプレイができています。
ちなみに試合前は緊張しますか。
あんまり緊張しない方だと思うんですけど、学生の頃は、大きい大会とか大きい会場での試合の時とかは多少緊張してました。でも、ぼくはオンとオフの切り替えがはっきりしていて、家に帰ると、バスケット道具とか大会で頂いたトロフィーとかを一切飾ってないんです。コートを出るとスイッチを切り替えてバスケを忘れるんです。それが良いのかもしれません。
最後に部活に励む中高生にメッセージをお願いいたします。
座右の銘じゃないんですけど、「今を大切に」って言葉を大事にしています。今しかできない事というか、学生の頃は怖いもの知らずで、なんでもチャレンジする気持ちが強いと思うので、その気持ちを大切に、今を大事にして、後悔しないように積み重ねてほしいです。
ありがとうございました。